■宮本俊明教授が指摘する職場の”配慮”、今後もカギになる
宮本「5類に移行し、法律に基づく外出自粛がなくなった後、感染者の出勤について考える上で難しいのは無症状の場合です。症状があれば、他の病気の場合と同様、本人も有給休暇を取って休むことに納得がいくと思いますが、無症状の場合、有給休暇を取ってまで休みたくないと考える人もいるはずです。
テレワークができる職場なら自宅で勤務してもらうこともできますが、できない場合、職場で感染を広げないためには休んでもらうという対応になり、その欠勤の形式については事業所ごとに、労使の双方が合意できるよう検討が必要になります。
職場での感染対策を緩和する上で、管理職や経営者は、個人の特別な状況にも十分配慮していただきたいです。がんや難病で治療中の人や障害者ら、さまざまな健康状態の人が仕事をしています。中には重症化リスクの高い人もいます。そういう人にはテレワークを可能にするなどの配慮が望まれます。
一方、自分の職場の感染対策が緩和され、感染が心配な方は、産業医や主治医に相談して下さい」
(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2023年5月15日号