本書は著作権分野の第一人者である弁護士が記した入門書だ。「基礎知識編」「応用編」の二部に分かれ、テーマ別に計20回分の解説が収録されている。
著作物とは「創作的な表現」を指し、そこには著作権が発生する。例えば小説や音楽は「著作物」。そのくらいは理解していても、ではタイトルは? アイデアは?と細かく考えていくにつれ、だんだんわからなくなってくる。そのように、身の回りにあるものは「著作権のグレー領域」で溢れていると本書は教えてくれる。だとするなら、著作権は一部のクリエーターだけが知っておくべき話ではない。大学のリポートに人の文章を内容を改変して引用することはOKか、あるいは屋外での美術作品の写真をツイッターにアップすることは合法か……などなど、若い読者自身が直面しそうな事例が豊富に紹介されている。このような問いかけを通じ、著作権との付き合い方を身近な角度から見直すことができる。
関連著作を持つ著者だが、初めて手に取るなら基礎的な内容がコンパクトに網羅されている本書がおすすめだ。
※週刊朝日 2015年2月20日号