「チン」するだけで料理や飲み物を手軽に温められる電子レンジ。
でも、ちょっとした条件で、加熱中や加熱後に液体が急に沸騰して吹き上がる、「突沸(とっぷつ)」という現象が起こるのをご存じですか?
電子レンジが普及した近年、この突沸による火傷や爆発などの事故が多く報告されています。特に冬の時期は、電子レンジで飲食物を温めることが多くなり、突沸による事故も起きやすくなります。
そこで今回は、突沸を起こさず、食品を安全に温めるためのポイントをまとめてみました。
こんなに怖い「突沸」現象
通常は液体が沸点に達すると、液体の内部から水蒸気が発生して沸騰状態になりますが、まれに沸点に達しても沸騰しない場合があります。この状態の液体にちょっとした振動や刺激(ゆする、かき混ぜる、砂糖・調味料を入れるなど)が加わると、突然激しく沸騰します。この現象が「突沸」です。
突沸が起こると、熱い液体が勢いよく吹き上がったり、爆発するように飛び散ったりするので大変危険です。
国民生活センターによると、突沸に関する危害・危険情報が2009年4月以降、68件寄せられているそうです。
実際にあった例としては、電子レンジで温めた豆乳を取り出したら一気に吹き出した、電子レンジで温めたコーヒーに、砂糖を入れたら急に泡が吹き出した、電子レンジで温めたコーヒーを取り出したら、いきなりバーンという音がして天井までコーヒーが飛び散った……など。
突沸する直前までは、液体がグツグツ沸騰しているように見えないため、気が付かずに取り出して手や顔に火傷を負うケースが多いようです。
トロミのある食品は要注意! 電子レンジ以外でも突沸は起きる
突沸は電子レンジだけでなく、ガスコンロやIHクッキングヒーターでも起きることがあるので要注意。特に、熱が対流しにくいトロミのある食品(カレー、味噌汁、乳製品など)は、局所的に高温になって突沸が起きやすいそうです。
同センターでは突沸に関して、以下の点に注意するよう呼びかけています。
●電子レンジで飲み物(水、コーヒー、牛乳、豆乳、お酒など)を温める時は、温めすぎないようにする。レンジのオート機能は使わない。
●電子レンジで温めすぎた場合は、すぐにレンジの扉を開けず、1~2分待って庫内から取り出す。
●トロミのある食品をコンロやヒーターで再加熱する時は、弱火でかき混ぜながら温める(電子レンジで温める場合も注意を)。
さらにこの時期、突沸と合わせて加熱時に注意したい食品があります。それは、冬の定番“おでんの玉子”です。電子レンジで玉子を温めると、内部で熱が膨張して爆発することがあるので、玉子(おでん)は鍋を使って温めるほうが安心ですね。
温かいものが欲しくなる冬は、いつも以上に電子レンジが大活躍&重宝しますが、食品を温める際にはくれぐれも注意してくださいね。 ※参考資料/国民生活センターホームページ
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20141204_1.html