調べてみると……その昔、お釈迦様が鶴と亀に「俺がお前達にめっちゃいい話聴かせてやっから! でも俺んち暗くてよく見えねえから、ろうそくの灯りを持って来いや!」と命じたらしい。「へーい! ただいまー!」と亀は口にろうそくを咥えて海を泳ぎ、鶴もろうそくを咥えて空を飛び、お釈迦様のもとに駆けつけた。「……おい! つーか火ぃ消えてるじゃねぇか! やりなおーし!」鶴と亀はろうそくを何度も何度も運ぼうと試みるもそこが畜生のあさましさで、どうやっても火が消えてしまう。「いつまでチンタラやってんだよっ!」とイライラをつのらせるお釈迦様。

 鶴と亀もだんだんと嫌んなってきた。「なんかめんどくせ」「もうやめる?」「でもまぁ、あとあとのこと考えると行っといたほうがいいかもしれねえし……」「じゃあ、とりあえず行くだけ行こ。慌てることねえよ、どうせあの人他にやることないだろうし。待たせときゃいーよ」

 と言って、鶴はとりあえずろうそくを咥え、とりあえず亀の背中に乗り、亀はとりあえずいつも通りののんびりペースで、とりあえず海を泳いだ。「遅えな、あいつら……また消えてたらどうしてやろうか……」とお釈迦様。

 「さーせん、遅くなっちゃって……」と、とりあえず頭を下げる鶴と亀。「おい! 俺はな、夕方から用があるんだよ! どれだけ待たせんだよ! ホントいいかげんにしろよ! どーせ、また消えてんだろ……あ? まだ火がついてる……え、どうやって持ってきたんだよ、お前ら?」

 「あー、僕が咥えて、亀の背中に乗って、亀が泳いで来ました。さーせん。あのー、灯り持ってきてんで、そのありがたい面白トークみたいの聴かせてくれるんですよね? さっそくお願いします」と鶴。「早く聴かせてくださいよぅ、めっちゃいい話なんでしょー?」と亀。

 「(くそ、こいつらタラタラ来たくせに要求だけは強めにしてくるな。こっちは忙しいってのに)……ちょっと待ってろよ!」と、お釈迦様は一度バックステージに引っ込んでから、メイクをバッチリきめ、衣装も着替え、改めて出囃子に乗って二人の前に現れた。 

次のページ えっ!? ストップ! ストップ!