「一所懸命に教えてもできない、やらない、できるまで頑張らない」など、部下の育成に悩むマネジャーは少なくない。テレワークが増え、部下の働きぶりが見えにくくなった今ならなおのことだ。著書累計50万部超の人気ビジネス書作家・浅田すぐる氏は、「部下はカンタンに変わることはない」という前提の上で、新著『あなたの「言語化」で部下が自ら動き出す 「紙1枚!」マネジメント』(朝日新聞出版)で自分自身の「人材育成」「リスキリング」「学びなおし」への考え方を述べている。同著から一部を抜粋、再編集して紹介する。
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部下はカンタンに変わることはありません。
その過半数はフォロワー姿勢で働くことが自然であり、意志を貫けず環境に左右されるため、「部下が勝手に成長していく」といったことを前提にするわけにはいきません。
そこで、私は一貫して、「まずは自分を変える」「その姿を見せ続ける」「あなたという環境に感化された部下から、少しずつ支援していく」という急がば回れスタイル=漸進を大切にしていきました。
人材育成についても、この姿勢は変わりません。
まずは、自分が人材として成長する姿を見せ続けること。
これが、人材育成における最大の本質、センターピンです。
マネジャー自身が部下にとっての良い環境となり、現状維持ではなく、あなたの成長にこそフォローしていきたいと思わせられるかどうか。
ここが、最初にして最大の分岐点なのだと、まずは心得てください。
■自ら学び成長している姿を部下に見せる
私は、2018年に『―超訳より超実践―「紙1枚!」松下幸之助』(PHP研究所)という本を上梓していて、そこで『社員心得帖』(PHP研究所)に登場する松下幸之助さんの次の言葉を引用しました。
<皆さんは週二日の休みをどのような考えで過ごしておられるだろうか。一日教養、一日休養というように有効に活用できているかどうか。>