レアル・マドリード移籍後に輝きを失ったエデン・アザール
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 ペップ率いるマンチェスター・シティのビッグイヤー獲得に沸いた欧州サッカー界の話題と興味は、早くも「移籍市場」へと移っている。すでにジュード・ベリンガムがドルトムントから移籍金1億300万ユーロ(約160億円)でのレアル・マドリード加入が発表されたが、その他にも多くの注目銘柄の動向が取り沙汰されている。しかし、移籍は「成功」もあれば「失敗」もある。ベリンガムの移籍を評価する前に、近年の“大型移籍”の“成否の例”を振り返りたい。(以下文中の移籍金はドイツの移籍専門サイト『transfermarkt』を参照)

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 近年の「成功」と言えば、やはり“怪物”アーリング・ハーランドだ。南野拓実とコンビを組んでいたザルツブルクから、19歳の2019年冬に移籍金2000万ユーロ(約31億円)でドルトムントに加入し、2シーズン半でリーグ戦67試合62得点をマーク。そして22歳の2022年夏に移籍金6000万ユーロ(約93億円)でマンチェスター・シティに加入すると、いきなりリーグ戦35試合36得点でプレミアリーグ得点王に輝き、欧州CL制覇にも大きく貢献した。加入前は戦術面の適応に不安の声も聞かれたが、開幕直後からゴールを量産して絶対的エースとして君臨し、FAカップも含めて3冠獲得の原動力となった。シティではまだ1シーズンしかプレーしていないが、すでに6000万ユーロの移籍金が非常に安く感じられる。

 対して、“怪童”キリアン・エムバペは評価が分かれる。16歳でデビューしたモナコから、レンタル移籍を挟んで19歳の2018年夏に1億8000万ユーロ(約280億円)でパリSGに加入。その後、6シーズンでリーグ戦通算176試合に出場して148得点を挙げ、5シーズン連続の得点王、4シーズン連続のMVPに輝いている。その数字、勲章を見れば「成功」だろう。だが、あくまで5大リーグの中でも1ランク格が落ちるリーグ・アンでのこと。そして最大の目標であるビッグイヤーを獲得できていない事実がある。あとは、現在2024年夏までの契約を結んでいる去就問題がどうなるか。契約期間内に移籍となった場合、獲得時に支払った1億8000万ユーロは回収できる見込みだが、フリー移籍となれば金銭的な損失が非常に大きく、「失敗」の意見が増えることになるはずだ。

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