個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回はフォロワーからのコメント欄に溢れる「アレ」について。
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うんこである。
いや、うんこではない。俺はうんこではない。あくまで俺は人間であり、うんこではない。
そんな言うまでもないことをわざわざ書く辺り、もしかしたら多少はうんこなのかもしれないし、俺の中にも多少うんこの部分があるのかもしれないが、人間は誰しも体内にうんこなる部分を多少は抱えているだろうから、やはり多少は俺、うんこなのかもしれないが、やはり属性的にはうんこの前に人間であり、人間のあとにうんこなのだろう。
担当K氏に「お願いですからもっとちゃんとしてください」と泣きながら懇願されそうな書き出しだし、いま「書き出しだし」って「だし」が続いてしまったが、「アンタねぇ! 料理の苦労も知らないで、気楽に味がどうだこうだ言ってるけどねぇ! 出汁だし! ちゃんとひと手間、出汁だし!」みたいな局面で「だし」が続くことはあるだろう。
うんこを多用するという風雲急を告げるような書き出しをしておいて、うんこと全く関係ないことをしばし書くという無責任な行為をしているが、そしてうんこと料理の話を並べるという背徳の行為をしているが、さらに「人間のあとにうんこ」ってなんだという気が今さらながらしているが、とにかくうんこなのである。
先日、俺はこんなツイートをした。
「今日マチスコープのロケで、撮影にご協力頂いた建設会社の男性が『ウチの子どもがこの番組大好きなんです』と仰るので『どの役がお好きですか』と伺ったら『えっと…ご家庭の…とある場所からですね…え~佐藤さまが…排水溝に流れ出まして…え~』『うんこですね』『そうです』。気を遣わせてごめんなさい」
こうして改めて書くと、モジモジと言いにくそうにしていた建設会社の男性を思い出し、申し訳ない気持ちがよみがえるが、やはり、うんこなのだと思う。人々の心はうんこに恋い焦がれているのだと思う。現に、このツイートのリプ欄(コメント欄みたいなものです)は、うんこ一色だった。うんこワールドだった。