山形中央・武田陸玖(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
山形中央・武田陸玖(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
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 年初から豊作と言われている今年のドラフト戦線。高校野球は各地区の春季大会、大学野球は春のリーグ戦と全日本大学野球選手権、社会人野球は都市対抗予選が終わり、1位候補はある程度揃ってきた印象を受ける。しかし、毎年最終学年に急浮上してくる選手は必ず存在しており、その存在によって大きくドラフト戦線が動くことも考えられる。そんな現時点での“サプライズ1位”となり得る候補を探ってみたいと思う。

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 まず現時点で特に上位指名が有力と見られているのは以下の17人だ。

・高校生(7人)
前田悠伍(大阪桐蔭・投手)
東松快征(享栄・投手)
坂井陽翔(滝川二・投手)
平野大地(専大松戸・投手)
木村優人(霞ケ浦・投手)
佐々木麟太郎(花巻東・一塁手)
真鍋慧(広陵・一塁手)

・大学生(9人)
常広羽也斗(青山学院大・投手)
下村海翔(青山学院大・投手)
細野晴希(東洋大・投手)
西舘勇陽(中央大・投手)
武内夏暉(国学院大・投手)
滝田一希(星槎道都大・投手)
進藤勇也(上武大・捕手)
上田希由翔(明治大・三塁手)
広瀬隆太(慶応大・三塁手)

・社会人(1人)
度会隆輝(ENEOS・外野手)

 大学生の投手はここで挙げた以外にも有力選手が多く、冨士隼斗(平成国際大)、尾崎完太(法政大)、西舘昂汰(専修大)、古謝樹(桐蔭横浜大)、松本凌人、岩井俊介(ともに名城大)、上田大河、高太一(ともに大阪商業大)なども展開次第では十分に上位指名を狙える位置にいると考えられる。そしてこの中から1位へのジャンプアップを狙える候補としては古謝と高のサウスポー2人を推したい。

 古謝は2年春から主戦となり、一時は故障で低迷した時期もあったものの、昨年秋に見事に復活。この春のリーグ戦では5勝0敗でMVPと最優秀投手にも輝いている。続く大学選手権でも初戦で延長10回タイブレークの末に仙台大に敗れたものの、9回までは0点に抑える見事な投球を見せた。力を入れた時の150キロ前後のストレートは空振りを奪える勢いがあり、縦の変化球の質も高い。コントロールがもうひとつ安定しないのが課題だったが、前述した仙台大戦では9回まで106球で投げ切り成長を見せた。チームの先輩である渡部健人(2020年西武1位)も最終学年に大きく評価を上げて1位指名を受けただけに、それに続きたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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高校生で“サプライズ1位”の可能性あるのは?