阪神・馬場皐輔
阪神・馬場皐輔
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 開幕から2カ月が経過したプロ野球のペナントレース。上位と下位の差が徐々に開きつつあるが、3位以内に入ればクライマックスシリーズ進出となるため、近年を振り返ってみても6月以降にトレードに動いた球団は少なくない。今回はそんなトレードでの緊急補強の候補になりそうな選手について探ってみたいと思う(成績は5月31日終了時点)。

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 まず需要の多いのが投手だが、セ・リーグでは首位を走る阪神が先発、リリーフともに充実した戦力を誇り、力はあってもなかなか一軍に呼ばれない選手も存在している。そんな中で名前を挙げたいのが馬場皐輔だ。2017年のドラフトでは清宮幸太郎(日本ハム)と安田尚憲(ロッテ)の“外れ外れ”ながら、2球団による競合の1位指名で阪神に入団。3年目の2020年に中継ぎとして一軍に定着すると、翌2021年には44試合に登板して3勝、10ホールドとブルペンを支える存在となった。

 ただ昨年からは湯浅京己、浜地真澄、石井大智などの台頭もあって一軍での登板機会が激減し、今年も開幕から二軍暮らしが続いている。ただ二軍での成績を見てもチームトップの17試合に登板して防御率は2点台と安定しており、イニング数を上回る奪三振をマークするなど状態は良いように見える。150キロを超えるスピードと、鋭く落ちるスプリットという決め球があるのは大きな魅力だ。かつてのドラフト1位だけに阪神も簡単には手放さないと思われるが、現在のようなチーム状況が続くのであればトレードに応じることも十分に考えられる。パ・リーグでリリーフに苦しんでいる楽天などは馬場の出身地ということもあるだけに、狙っても面白いのではないだろうか。

 一方のパ・リーグでポテンシャルのある投手や、かつて実績を残した投手が二軍に多い球団と言えばやはりソフトバンクになるだろう。他球団からするともったいないと感じるほどの投手が多く二軍でプレーしているが、貴重なサウスポーとして狙い目になりそうなのが笠谷俊介だ。プロ入りからしばらくは二軍暮らしが続いたが、6年目の2020年には20試合に登板(うち11試合は先発)し、プロ初勝利を含む4勝をマーク。翌年には開幕ローテーション入りを果たしている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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野手の“狙い目”は?