「勤務の現状を考えると、部活の顧問をやっていたら、授業準備などの業務が勤務時間外にはみ出してしまう。部活の顧問というのは本来、その他の学校業務が勤務時間内に終わって、余裕のある人がやるものでしょう」

 4年前、部活顧問を拒否する運動を始めたころは全く手ごたえがなかった。しかし、2年ほど前から実際に顧問を拒否する人がぽつぽつと現れ始めた。

「SNSで『顧問は断れる』という情報が広まるとともに、この問題についてオープンに議論してもいいんだ、という雰囲気がつくられていきました。昨年度は30~40人の相談に乗りました」と、加藤さんは手ごたえを語る。

 一方、課題もある。

「組合活動に参加することへ強い抵抗感があるのを感じます。労働問題以外の政治運動みたいなものに動員されるんじゃないか、という不信感があるようです。あと、顧問は断れる、ということを、なかなか信じてもらえない、ということもあります」

 文科省は部活の顧問を「部活動指導員」などに置き換える制度を設け、今年度から公立中学校の部活指導を地域や民間に委ねる「地域移行」を本格化させる。しかし、必要な人材を確保できるか不透明な地域もあり、教師たちに過度な負担を強いている状況の改善には、なお時間がかかりそうだ。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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