東京都内で、警察官の自殺とみられる事件が相次いでいる。大型連休中の5月には首相官邸の守衛所で、警備にあたっていた機動隊員が拳銃を自身に向けて発砲。拳銃を使った自殺とみられる事件は今年1月にも起きている。市民を守る警察官の世界で、何が起きているのか。
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ゴールデンウィークも終盤の5月5日早朝、東京都千代田区永田町にある首相官邸。
「午前4時半過ぎ、西門守衛所のトイレ付近で、パンッという発砲音が聞こえた」(警視庁関係者)
発砲音を聞いて駆けつけた他の職員がトイレの個室内で、警視庁第4機動隊に所属する25歳の男性警察官が頭から血を流して倒れているのを発見。病院に搬送されたが、死亡が確認された。警視庁が捜査中だが、男性警察官は自分に向けて拳銃の引き金を引いたとみられている。
亡くなった男性警察官について、警視庁関係者は「ハキハキと大きな声で挨拶をする、真面目な人だった」と話す。
一方で東京都の機動隊は、「厳しい」職場だという。
「機動隊の仕事は100点か0点と言われている。やる気や気力・体力を持て余した若手が、日がな一日、何もないまま突っ立って終わる勤務が100点。0点は、通行人が誤って敷地に侵入するといった警備上無価値の事案のことで上層部がひたすら騒ぎ立てることです」
そして事件から約1週間後の5月13日朝、新宿区の新宿警察署の敷地内で、地域課に所属する30代男性の巡査長が倒れているのが見つかった。同署の13階の窓が開いた状態で、廊下には巡査長のカバンが残されていた。寺野彰副署長は「署員が亡くなったことは非常に残念。原因などを詳しく調べていきたい」と話している。
今年1月16日には、板橋区の高島平警察署の5階にあるトイレで、40歳の男性巡査部長が拳銃で自殺を図り、その後死亡が確認された。
また、同27日には千代田区永田町のビル1階にあるトイレで、警視庁特科車両隊に所属する39歳の男性巡査部長が拳銃で自殺を図り、死亡した。現場周辺には自民党本部があり、周辺施設の警備にあたっていたという。