ねこ妻:うちも、どっちかがひとりぼっちのときは、もうひとりが行ってあげる感じで。
ねこ夫:オス同士で、2歳離れてるんですけどね。
岩合:寝るときは一緒ですか?
ねこ妻:別々です。
ねこ夫:高いところの取りあいをしたりとか。
──みなさんのベッドに入ってきたりは……?
岩合:うちは足もとに。
ねこ妻:私はないんですけど、夫のほうには。
ねこ夫:入ってます(笑)。
──2匹の存在は、作品づくりに影響している?
ねこ妻:ネタは、自分のところのネコのことばっかりです。
岩合:僕も影響は多大ですね。すごく近しい人だけに見せる一瞬の表情を、うちのネコは当然見せる。一期一会のネコたちであっても、なるべくカメラを意識させないでこういう表情を撮りたいなって、日々感じています。
ねこ夫:朝、ただ「にゃー」って言ってるだけなんですけど、「おはよう」って聞こえるんですよね。表情からいろいろ読み取って、なんかしゃべりかけてきてる気がするよな、みたいな。でも、夫婦でも話しかけられ方がちがうよね。
ねこ妻:うちは夫にべったりです。
岩合:ネコって表情がないみたいに思われがちなんですけど、めちゃくちゃあるんですよ。ねこまきさんの漫画を見ると、子ネコを舐めるときの顔と、授乳をしている顔と、甘えている顔と、全部ちがうんですね。すごいです。ちょっとした線の描き方で、これだけ表現できるんだと。これを映像でできたら最高です。
■裏切られても愛さなきゃ
──ネコを愛らしく描く、撮るうえで心がけていることは?
ねこ妻:ネコって思いどおりにいかないじゃないですか。言うこと聞かないし、呼んでも来ないし、触りたいときには触らせてくれないのに、甘えるときは一方的に甘えてくるとか。みんなが「あー、そういうとこあるよね」って思ってくれるようなところを描くように気をつけています。
岩合:愛らしい姿を撮ろうと思ったら終わり。それはこちらの思いなんですよね。ネコは自分では決して愛らしいと思っていないわけで、僕は私は愛らしいって顔をされたら、それは限りなくイヌに近くなるんですよ。キミ、それはネコとしてどうなのよ?って(笑)。