ITの分野で、「キュレーション」という用語が注目を浴びている。この言葉は元々、情報を収集して分類・整理をするといった意味だが、近年IT分野に転用されるようになり、個々のユーザーの嗜好に合わせてインターネット上の情報を収集し、まとめることを指す。
関連サイトのURLをまとめたリンク集もキュレーションの一つではあるが、代表的なキュレーションサイトには、Twitterのつぶやきをまとめる「Togetter」や、検索サービス「NAVER」が開始した「NAVERまとめ」などがある。
また最近では、スマートフォン向けのキュレーションアプリも注目を集めていて、Gunosy、Antennaなどが次々とリリースされている。そんな中、特定のジャンルを対象にしたキュレーションアプリが新たに登場した。
それが、株式会社ディー・エヌ・エーが、iPhone、Android端末向けに配信している「ハッカドール」だ。
このアプリは、アニメやマンガ、ゲーム、ライトノベル、声優、特撮などのいわゆる「オタク」ジャンルに特化した情報を提供してくれる無料アプリだ。企業の公式サイトやメディアが公開する記事、個人サイト、まとめサイト、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、インターネット上の情報を1日3回(朝、昼、夜)、25件ずつ届けてくれる。
「ハッカドール」は、ユーザーが検索したワードや閲覧した記事の情報などを元に好みを学習し、ユーザーにピッタリの情報を提供するよう徐々に最適化していくアプリだ。記事を読むたびに、このアプリのキャラクターであるハッカドールたちが聞いてくる「捗りますか? 捗りませんか?」の問いに答えることで、最適化の精度をより高められるのだという。また、好きな人物や作品などをウォッチリストに登録すれば、登録された人物や作品についてのニュースもリアルタイムで配信されてくる。さらに、読んだ記事を元に、ユーザーが好きな作品やキャラクターを分析して表示する「成分表」という機能があり、この表のデータは、他のユーザーとシェアが可能だ。
ユーザーの嗜好をもとにして、通販サイト「TSUTAYA オンラインショッピング」で扱われている書籍やグッズ等の商品情報を届ける機能も搭載しており、同機能を通じて買い物もできる。
アプリの使用方法についても、「ハッカドール1号」「ハッカドール2号」「ハッカドール3号」の3人が登場し、説明してくれる。
ハッカドール1号は、メインナビゲーターを務めるしっかり者。2号はアニメに造詣が深く、産業構造などの業界ネタにも迫る探求者。3号はオタクエリートで1号、2号の知識を更に上回る猛者…… といったキャラクター設定がなされている。
配信されてくるニュースを読むよりも、彼女たちとユーザーとのコミュニケーション(インタラクション)がこのアプリの大きな特色だといえるかもしれない。
ハッカドールの登場はキュレーションアプリの特定分野への特化、細分化の起点となるか、今後の同行に注目したい。