対戦画面。この状態から勝負が始まる
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遊び方。駒によって動きが変わる (c)Madoka Kitao Maiko Fujita 2012/(c)G-mode

 将棋と言えば真面目で難しいとか、お堅いゲーム、といったイメージを持っている人も多いのではないだろうか。

 9×9の合計81マスに、8種類ある40枚の駒を動かして王将を取る将棋は、非常に頭を使うゲームだ。まず、8種の駒の名前と特性を覚えなければならない。駒の特性を覚えたら、次は山ほど存在する戦法を勉強しなければならない。その上、お互いが戦法を駆使し続けた結果、一回の勝負に莫大な時間がかかってしまうことだってある。

 だが、将棋に対する難しいというイメージを覆す将棋アプリがあるのをご存じだろうか。それが、株式会社ジーモードが発売する「どうぶつしょうぎ」だ。

 この「どうぶつしょうぎ」は、通常の将棋とは違い、駒は4種類しかなく、マスは3×4の12マスとコンパクトでシンプルな作りである。駒には可愛らしく描かれたライオン、キリン、ゾウ、ひよこの動物の絵柄が用いられていて、ライオンは「王将」、キリンは「飛車」、ゾウは「角行」、ひよこは「歩兵」の役割を担っている。大まかなルールは本格的な将棋と同じで、相手の駒を取ると自分の駒として使えるし、成り駒も存在する。成り駒とは、ある特定の行動をすると、別の動きに変化する駒のことで、例えばひよこは相手の陣地の最下位のエリアに入るとにわとりに進化して動ける範囲も広がりより強くなる。

 駒には進める方向に赤い印がついており、「王将」であるライオンを捕えるため駒を進めていく。漢字が読めなくても絵柄と印で理解することができるため、子どもでも簡単に遊ぶことができるゲームなのだ。ちなみにライオンを捕えると「キャッチ」となる。これは将棋でいうところの「王手」で、「キャッチ」すれば勝利となる。この他に、ライオンが相手の最下位のエリアまで進めば「トライ」という状態となり、これでも勝利となる。この「トライ」はこのゲーム特有のルールだ。

 実はこのアプリの元となる「どうぶつしょうぎ」は、2011年Amazonおもちゃ部門第1位になり大ヒットした商品。満を持してアプリで登場、というわけだ。将棋盤を出さなくとも将棋が楽しめるので、より身近に手軽になったといえよう。

 この「どうぶつしょうぎ」は可愛らしい見た目と裏腹に実は意外と奥深い。分かりやすいつくりになってはいるが、子どもだけでなく大人でもしっかり遊びこめる。また、将棋に関して全く知識がなくても、ルールや駒の性格を次第に理解できるつくりになっている。可愛らしくて単純なので簡単にクリアできるかと思いきや、意外に難しく、うっかりハマってしまってしまう人も。これなら将棋初心者はもちろん、将棋上級者でも楽しめそうだ。

 ちょっとした脳トレにも、子どもの知育にも役立ちそうなこのゲーム。将棋は難しそうだと、今まで躊躇していた人も、まずは「どうぶつしょうぎ」で“一手”踏み出してみてはいかがだろうか。

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