局地的な豪雨による土砂災害が相次いでいる。2014年7月9日には、台風8号や活発な梅雨前線による激しい雨の影響で、各地で土砂災害が起きた。長野県南木曽町では大規模な土石流が発生し、家屋が崩壊したり、鉄道の橋桁が流されたりするなどの大きな被害が発生した。出された避難勧告も間に合わなかったことから、土砂災害の予測の難しさが改めて浮き彫りになった。
そんななか、国土交通省と国土技術政策総合研究所、富士通研究所が共同で研究をすすめる、インターネットを活用した土砂災害予測システムが注目を集めている。
このシステムは、実際に山鳴りを聴いた人や、流木が流されているのを見た人が、Twitterなどのソーシャルメディアに危険な状況をツイートしたものを解析。土砂災害の危険性が高まっている地域を絞り込むことで、土砂災害の予測に繋げるというものだ。
土砂災害は局所的かつ突発的に起こる災害であり、遠隔地からのコンピューターによる予測よりも、現地住民がリアルタイムで体感する情報の方が有用である可能性が高いという考えのもと進められており、現地情報をうまく活用することで土砂災害発生予測が可能となれば、判断の難しい避難指示を、より素早く、そして的確な範囲で行えることが期待されている。
また、住民による体感情報を気象予測に役立てている事例としては、パソコンやスマートフォンなどを通じて、全国650万人以上の会員から、写真などが含まれた天気に関するリポートが投稿されるウェザーニューズの 「ウェザーリポート」がある。
同じくウェザーニューズが提供する、8万人以上が参加する「ゲリラ雷雨防衛隊」では、ユーザーから得た雷雲の画像などのリポートを集めて解析し、予報に活用したり、メール登録者に情報を知らせたりするしくみとなっている。
コンピューターや科学技術に頼り切りになっていては、いざという時に自分の命を守れない。いざという時に必要なのは、機械がはじき出した計算による「予測」ではなく、人が、目で耳で体で得た「ナマの情報」なのかもしれない。