そこで乗り出してきたのが、手軽に使えて使用料も格安なSIMサービスを提供しているMVNO業者だ。

 MVNO業者は、実際の移動体回線網を自社で持たず、回線網を保有している他の事業者から借りて、ユーザーへ通信サービスを提供(再販)している。つまり、MVNO業者はドコモやauの回線網を使用しているため、実質的にはドコモやauの回線網を格安で利用できるということになる。

 こうした業態には、1992年からインターネットプロバイダーサービスを手掛けてきたIIJや、10年からすでにSIMだけのパッケージ製品を手掛けてきた日本通信がすでに参入している。

 たとえば日本通信の場合、データ通信基本料900円(税別):基準データ通信量1.01GB/月という格安プランもある。ただし、これはあくまでデータ通信専用のプランであって、音声通話ができるものとなるとまた変わってくる。音声対応の場合、基本料金は月1500円~2400円となり、学割や家族割りなどを適用した通信会社のサービスとほぼ変わらないため、格安感が失われることも。

 さらに、MVNO業者が提供している音声対応のSIMカードは、携帯電話版の番号ポータビリティ(MNP)に未対応の場合も多く、SIMカードを変えることで電話番号自体を変更せざるをえない場面もでてくる。

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