近代、現代をおりまぜた300首あまりの愛、あるいは命を詠んだ短歌を歌人が紹介。作者の職業や詠われた背景などをふまえ、1首ずつこまやかに読み解いていく。 夏の恋を詠んだ有名な歌がある。「あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ」(小野茂樹)。読者それぞれが胸の内に秘める、かけがえのない相手の表情が浮かぶ。そうした選歌の妙は今を生きる歌人の作品にも及ぶ。「よく笑ふ親の子供はよく笑ふな…

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