育児を率先して行うお父さん=イクメン。この言葉が誕生し、ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に選ばれたのは今から4年前の2010年のこと。その後、イクメンという言葉、存在は定着し、すっかり市民権を得ているのはご存知の通りです。
しかし、当たり前の話ですが、それ以前から、育児をするお父さんは少ないながらも存在していました。当時は「主夫」などと呼ばれ、イクメンに比べ、その言葉にはどこかネガティブな意味合いが含まれていました。語弊を恐れず言うならば、ヒモ的なニュアンスがそこにはあったのではないでしょうか。とっても失礼な話だとは思いますが。
コミックエッセイ『新ニッポンの父ちゃん 〜兼業主夫ですが、なにか?〜』の原作者・杉山錠士さんは、イクメンという言葉がなかった2008年に、兼業主夫としての人生をスタート。以降、ラジオやテレビの放送作家の仕事をしつつ、2児の育児と家事全般をこなしています。
本書はイクメンブーム前から、仕事をセーブして、兼業主夫として家庭に入ることを選んだ杉山さんのドタバタ奮闘記。当初は、世間の偏見や冷たい目もあったものの、イクメンブーム到来で形勢逆転、思いがけず時代のニーズがついてきた顛末が、軽やかなタッチで描かれています。ご本人はめちゃくちゃ大変だったのでしょうけど、書かれているエピソードは思わず笑ってしまうものばかり。いや、本当におもしろい本です。
また、本書では、旦那さんをイクメンにさせるコツも披露されています。ひそかに旦那を主夫にしたいとお考えの奥さま、一読をオススメします(ヒソヒソ)。
そんな杉山さんが、昨日5月31日、横浜・赤レンガ倉庫広場で開催されたイベント「Holiday2014 ~オモテで遊ぼう~」(主催:株式会社エイ出版社)のトークライブに登場しました。企画したのは、NPO法人イクメンクラブ。日本パパ料理協会の滝村雅晴会長飯士、育児ジャーナリストのおおたとしまささんら、"新・ニッポンの父ちゃん"にふさわしい同志3人が集結し、ステージを熱くしました。イクメン黎明期、いやイクメン創世前から、せっせと大地を耕してきた"開拓者"たちの言葉に、思わず頷くお父さんたち。時代は今、まさに変わりつつあるのではないでしょうか。
つい数年前に比べ、急激に理解が広がっているイクメン=新しい父親のあり方。専業主夫や兼業主夫がもっと当たり前になる時代は、我々が思っているよりそう遠くない未来なのかもしれません。