ロックフェラーセンターの展望台で家族と 「50歳でも空をとべる?」(写真/筆者提供)
ロックフェラーセンターの展望台で家族と 「50歳でも空をとべる?」(写真/筆者提供)
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 ドキュメンタリー映画監督の海南(かな)友子さんが10歳の息子と年上の夫を連れ、昨年1月からニューヨークで留学生活を送っている。日本との違いに戸惑いながら、50歳になっても挑戦し続ける日々を海南さんが報告する。今回が最終回。

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 誕生日が来て、また一つ年をとった。夫と息子からのプレゼントは、 スポンジが虹色のレインボーケーキ。日本では絶対買わないビビットな色だけど、ニューヨークでの頑張りを虹が祝ってくれたみたいでうれしかった。

レインボーケーキで誕生日のお祝い。7色でなくて6色だった!(写真/筆者提供)
レインボーケーキで誕生日のお祝い。7色でなくて6色だった!(写真/筆者提供)

 1年を振り返ると、50歳のチャレンジはとても充実していた。若い時のがむしゃらさはなく、大人の自由なニューヨーク(NY)を満喫できた。毎朝、バスでロックフェラーセンターやブロードウェーを横目にコロンビ ア大学に通う。もし、高校生の自分が聞いたら絶対に信じないだろう。 英語の成績は底辺だったし、「50歳で、子連れNY留学するよ」なんて言ったら鼻で笑われそうだ。

 NYの楽しみはいろいろあったが、はまったのは当日券でミュージカルを見ることだ。普通なら1枚200~500ドル(約2万7千~約6万7千円)するのに、1人分の空席があれば約50ドル(約6700円)で観劇できる。大学帰りにふらっと「ムーラン・ルージュ」や「シカゴ」をめちゃくちゃいい席で見た。

 中でも感動したのは、ハリウッドスターのヒュー・ジャックマンの「ミュージックマン」。なんと2階の最前列だ。日本より劇場が小ぶりなため、2階でもはっきりと拝めた生ヒューさま。寿命が延びた(笑)。コロナ禍で長く劇場が休止し街も役者も大変だったのだが、彼は舞台出身なので、ブロードウェーに恩返しするために約1年間、主演を務めた。大スターなのに素晴らしい。

 そして、公演後にはサプライズがあった。カーテンコールでヒュー・ ジャックマンがオークションを始めたのだ。その日の舞台で使った手袋を出品し、「2年間、大変だったブロードウェーにみなさんの力を貸してほしい!」

 と呼びかけた。あっという間に1千ドル(約13万円)、2千ドル(約27万円)に釣り上がる。落札した方はただのヒューさま推しかもしれないが、 でも演劇への寄付という熱が会場に充満した。米国のいいところってこういうとこだなあと妙に納得。もちろんお金がなければ生きていけない街だから、ホームレスがあふれ、経済格差もすごいけど、寄付や社会貢献の文化はこの国の強さだと感心した。

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