ソロ・アーティストとして第一歩を踏み出してから46年。この間ニール・ヤングは、プロデュースや演奏に関して、有名クリエイターや大物アーティストを招いたり、彼らの手に委ねたりはしないというスタンスを、ほぼぶれることなく、守りつづけてきた。いつもそばにいるのは、デイヴィッド・ブリッグス、クレイジー・ホースの面々、ベン・キースなど、深い友情で結ばれた仲間たち。極端にいえば、テクニックや知名度は関係ない。その姿勢は、ホームグロウンという言葉をイメージさせるものだ。
そういった姿勢と通じることといえると思うのだが、ニールがゲストとして参加したアルバムはそれほど多くない。これもやはりまた、友情や信頼感、リスペクトやシンパシーを大切にしてきた結果といえるだろう。
たとえば、何度かニールのアルバムで美しい歌声を聞かせてきたエミルー・ハリスの作品には、1979年の『ライト・オブ・ステイブル』と95年の『レッキング・ボール』、さらには、彼女とリンダ・ロンシュタット(あの《ハート・オブ・ゴールド》でジェイムス・テイラーとコーラスを担当)のデュエット・アルバムに参加している。このうち、『レッキング・ボール』は、『フリーダム』に収められていたニールの曲をタイトル・トラックとしたもので、プロデュースを手がけたのはダニエル・ラノワ。ここでの出会いが『LE NOISE』へとつながっていったわけである。
ほかにクロスビー、スティルス、ナッシュ、ウィリー・ネルソン、ボビー・チャールズ、ブッカーT、エルトン・ジョン&リオン・ラッセルらの作品に、いずれも控えめなスタンスで参加しているが、個人的にとりわけ強く印象に残っているのは、自分らしさへのこだわりはニール以上といえるかもしれないウォーレン・ズィヴォンの『センティメンタル・ハイジーン』(87年)と、『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』に起用されたことをきっかけにその存在が知られるようになったニルス・ロフグレンの『クルックド・ライン』(92年)。前者のタイトル曲と後者の《ドランクン・ドライヴァー》ではいずれも、鋭く斬り込んでくるような、パワフルで、緊張感にあふれたギターを聞かせている。
※編集部より:「ニール・ヤング全アルバム・ガイド」は、今回をもって、これまでに正式に発表されたニール・ヤングの全アルバムの紹介を終了しました。今後、あたらしくアルバムが発表された際には、随時、追加の予定です。また、大友博氏には引き続き、「エリック・クラプトン全アルバム・ガイド」(仮)を執筆していただく予定です。ご期待ください。