左が事務所のマネージャーからクリスマスにプレゼントされたれたキヤノンEOSKiss Digital X。ポラロイドSX-70といつも持ち歩いているVISTA QUEST VQ1005は、トイカメラが好きなので自分で購入したという。若い女の子らしくインテリアやファッションとしても楽しんでいる
左が事務所のマネージャーからクリスマスにプレゼントされたれたキヤノンEOSKiss Digital X。ポラロイドSX-70といつも持ち歩いているVISTA QUEST VQ1005は、トイカメラが好きなので自分で購入したという。若い女の子らしくインテリアやファッションとしても楽しんでいる
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光にひかれるという星井さん。高速道路で車の中からとらえた電灯の明かりが夜の闇に浮かび上がっている。いつもカメラを持ち歩いて、被写体を探しているのがわかる
光にひかれるという星井さん。高速道路で車の中からとらえた電灯の明かりが夜の闇に浮かび上がっている。いつもカメラを持ち歩いて、被写体を探しているのがわかる
家の近くで咲いているのを見て、その可憐さにすかさずVISTA QUEST VQ1005で撮ったという。ピントが甘いが、そこもかわいくてすてきな味になったと気に入っている
家の近くで咲いているのを見て、その可憐さにすかさずVISTA QUEST VQ1005で撮ったという。ピントが甘いが、そこもかわいくてすてきな味になったと気に入っている
絵画が趣味という星井さんが、「光のグルグル系」と呼んでいるシリーズの中の1枚。光に対してスローシャッターでカメラを動かし、見事なハート形に仕上げた。絵を描くように画面に作画して楽しんでいる
絵画が趣味という星井さんが、「光のグルグル系」と呼んでいるシリーズの中の1枚。光に対してスローシャッターでカメラを動かし、見事なハート形に仕上げた。絵を描くように画面に作画して楽しんでいる

――カメラを好きになったきっかけは?

 15歳のとき、雑誌の撮影現場でロモカメラを持たされたことがあったんです。カメラで遊んでいる姿を撮影するから「好きに撮っていいよ」っていわれて。それでロケ地の学校の景色を撮っているうちに「撮るって、こんなに楽しいの?」と驚いて、カメラがすごく欲しくなりました。それまでカメラは家族写真を撮るものだと思っていたので、「自由に撮るって楽しい!」と初めて思ったんです。

 以来、「カメラをやりたいな」とずっと思っていたら、高3のクリスマスに事務所のマネージャーさんから突然、お仕事を頑張ったごほうびとしてEOSKiss Digital Xを贈られたんです。サプライズだったので本当に感激して、もう自分の足とか空とか何でも撮りまくりました。それで欲が出て、トイカメラも欲しくなって、雑貨屋のヴィレッジヴァンガードへ通ううちに、ポラロイドSX-70に出合いました。不細工というか、ふぬけた感じが「なんてかわいいの!?」と思って今年の2月に自分で買ったんですよ。それから最近、VISTA QUEST VQ1005というデジタルのトイカメラも買いました。写りが不思議で、ちょっと近未来的なルックスが個性的で、安くてかわいかったんです。

――3台の使いわけは?

 ポラロイドは「よし写真を撮ろう」というときに使います。気が向いたときに空を撮ったりするのですが、この子も気まぐれなので写ったり写らなかったり(笑)。それがまた味かなと思っているんですけどね。あとはインテリアとして部屋に飾っています。毎日、街中で持ち歩いているのは、VISTA QUEST。現代っ子なので、すぐ見られるデジカメはやっぱり楽です(笑)。EOSKiss Digital Xは家族を撮るほか、これを使って「お絵かき」をするのが好きです。暗い所でシャッター速度を遅くして、光に向けてカメラをぐるぐる動かすとハートや星が描けてかわいいんですよ。夜、ビルの明かりや車のライトを見つけては一人で黙々とやっています(笑)。でも撮った写真は何回も見直しません。私、写真を見て癒やされるというより、カメラそのものが好きなんです。このカメラで何ができるんだろうっていじるのが好き。

――毎日さわっていますか?

 そうですね。撮らなくても部屋に並べて見ています。カメラの見た目が大好きだし、カシャとかシーシーっていう操作音も好き。この間は中古カメラ市の告知を見て、ふらっとデパートに一人で行ったんです。そしたらおじさんしかいなくて超目立っちゃいましたよー(笑)。売り場のおじさんに「ライカかわいいですね」って言ったら、「えっ、かわいいの?」って言われて。「でも高くて手が出せないです」「出せないだろうねー」なんてお話ししました。ライカが欲しくて、ジャンク品でもいいから買うか迷ったんですけど、まだ種類も違いも全然わかっていないから、もっと中古屋に通っていろいろ教わらなくちゃダメですね。お店のおじさんに「おまえ何にも知らねーなぁ」って顔をされるんですけどね。(笑)

――同世代でカメラ趣味の人はいます?

 いないです。デジカメはみんな持っているけどライカを見てニヤニヤ喜ぶ人はいないかなぁ。ときどき雑貨屋さんで若いカップルがホルガを一緒に見ていたりするとうらやましいですね。恋人と一緒に散歩しながら写真を撮ったり見せあえたりしたら理想だなー(笑)。でも写真って撮った人の世界が見えますよね。私にはない世界だなとか、この人にはこういう世界が見えるんだとか。人の心をのぞき見するようで、ちょっと恥ずかしい気もします。自分のブログに写真を載せるときは照れもあるので厳選していますよ。見た人から「こりゃダメだな」なんて評価されたら、すぐに心が折れちゃうタイプなので(笑)。将来は写真家を名乗れたらいいなと思っているんですけど、まだまだ教わらなきゃいけないことがいっぱいですよね。

※このインタビューは「アサヒカメラ 2009年10月増大号」に掲載されたものです

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