西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)さん。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「健康上での失敗」。
【ランキング】食品中のプリン体含有量一覧 極端に多いのはアンキモと?
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【痛風】ポイント
(1)鮟肝のステーキが実にうまくて2枚食べてしまった
(2)その鮟肝2枚が痛風の発作を引き起こしてしまった
(3)反省したが遅かった。薬を常に服用することになった
日頃、健康法や養生について語っている私ですが、自分自身の健康管理で失敗したことがあります。まさに「医者の不養生」です(笑)。
楊名時八段錦・太極拳茨城県支部とはよくお付き合いをさせていただき、毎年秋の総会には、楊名時先生と一緒に出かけて行きました。そして、そのたびに鮟鱇(あんこう)鍋の専門店に招待されました。鮟鱇鍋は好物ですが、とりわけ私は鮟肝が好きなのです。ですから、その店に行くのは楽しみでした。そして、何回か行った頃、鮟肝のステーキが登場したのです。普通の鮟肝よりも大きな四角形です。食べてみたら、これが実にうまいんですね。その時、これを食べない人が一人いて、1枚残ったんです。それもいただいてしまい、大満足でした。
ところが、その2日後に突然、左の足首が痛くなりました。見ると赤く腫れ上がっています。同僚の内科医の診断は痛風発作。生まれて初めての経験でした。自分が痛風持ちであるとは、全く知りませんでした。
日頃、私は食養生の基本として「好きな物を少しだけ食べる」と説いています。ところが、鮟肝のステーキについては、大きいやつを二つも食べてしまったのです。鮟肝にはプリン体が多く含まれていて、尿酸値を上昇させます。これが痛風の発作を引き起こしたことは、間違いありません。反省しましたが、もう遅かったのです。
服薬により、痛風の痛み自体は、2日ほどで消え、腫れも1週間でおさまりました。でも、痛風の発作は放っておくと、再発するというのです。