『東京タワー』『天地明察』『海賊とよばれた男』――全国の書店員が既刊本から売りたい本を選ぶ「本屋大賞」からは、数多くの話題作が生まれてきました。出版不況とも言われる昨今、売り場を知る書店員の目利きの力は、やはり説得力があり、信頼感抜群です。そんな中、今月から書籍化前の段階から書店員が出版に関わっていく新たな賞が誕生しました。
学研パブリッシングが主催する「本にしたい大賞」では、まずファーストステージとして、書籍化前の本から全国の書店員が「この作品を世の中に送り出したい」「私の書店で販売したい」と思えるノミネート作品を選び、投票します。その後、選ばれた作品に担当編集者がつき、作家と二人三脚で作品をブラッシュアップ、そして実際に出版されるまでの過程をウェブ上で随時公開していくという試みになっています。
ファーストステージの投票には、新刊を扱っている書店の書店員であれば誰でも参加可能。「本屋大賞」との大きな違いは、既刊本から選ぶのではなく、未発表の作品に投票する点。作品の冒頭部分(第1章~第2章ほど)が公開されており、その内容を読んだ上で「もっとこの作品を読みたいかどうか」を判断します。ここでは売り場の経験に支えられた視点からの、新しい才能の発掘が期待されています。
投票の仕方は、以下のとおり。まずは、学研よみものウェブ「ほんちゅ!」のノミネートページ(http://honchu.jp/book_gp/nominate/)にアクセスすると、以下の第一次ノミネート作品の冒頭部と寸評を読むことができます。
・『ルイ』舟崎泉美
・『虹の立つ家』一双
・『法面珍獣たち』流丘朶宙
・『はつ しぐれ』久松すみこ
・『春ことり』熊谷かおり
・『グリーンアイズボーイ』蔦葉康司
・『遙かなる航路』工藤誉
その上で、「投票エントリー」をクリックして選考員に登録し、書店員であると確認された場合にはIDとパスワードが発行され、投票が行えるようになります。
制作段階から売り場の声が反映される今回の賞は、書店員の声を通じて読者と出版社を一段深いところからつなぐ新しい試みといえます。従来のプロセスでは見出されなかった、新しい才能の発掘への期待が膨らむ賞です。
【関連リンク】
学研よみものウェブ「ほんちゅ!」本にしたい大賞ノミネート作品
http://honchu.jp/book_gp/nominate/