今からではどんな対策を打っても、そのすべてを救うことはできないのかもしれない。しかし、リーダーが説明から逃げず、私たちに希望のある未来を示してくれるなら、最悪の事態は回避できるのではないだろうか。
最悪の事態とは、私たちがパニックになり獣のように争うことだ。自分のために平気で他者を踏みにじるようになることだ。こういうときこそ、私たちは助け合わなくてはいけない。
利権政治や、公金の中抜きなどを行えていた時代は終わった。余裕のないこれからの政治は、生きるか死ぬかの困窮者を一人でも多く救えるかどうかじゃないのか。我々のリーダーは、どういう言葉を私たちに放ち、どういう風に私たちを導いていくのだろうか。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2023年3月17日号