よしもとばななと、母子保健の研究者の三砂ちづるが、女の身体、お産から育児、母と家について語り合う。庭の縁台に腰をかけて話しているような温かみある雰囲気がいい。
 三砂は、出産について、ぎりぎりまで本能を発現させる場として助産院をすすめる。日本の助産婦は世界一で、世界遺産にしたいくらいだという。母の最期について、ばななは話す。母は退院し、すぐに好きな酒と煙草を断った。その日から死は早かった。「やっぱり人間は楽しいことがないと生きていられない」。そして子どもが生きていくために必要なのは「楽しさ」だという。
 タイトルの「女子の遺伝子」は、父・吉本隆明のことばから。戦前も戦後も進歩的な女性はたくさんいて、家事はやらないとか、ご飯はつくらないとか、子どもを産んでも知らないとか、いろいろトライしたが、基本的にうまくいかなかった。それは遺伝子問題だからだと。それは一理あるとばなな。最後に父からいわれたのが、「並びなきいい家庭を作るというのはすごい、すばらしい小説を書くのと何も違わない」。感銘を受ける。

週刊朝日 2013年5月31日号

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