昨年、中国で吹き荒れた反日デモ。主体となったのが「第二代農民工」と呼ばれる人びとだ。都市への出稼ぎ農民の子供たち世代であり、彼ら自身も多くが農村戸籍でありながら都市部の工場などで働く。本書ではインタビューを通じて中国の急速な経済成長が抱える矛盾を体現する彼らの実像を浮き彫りにしている。
 「第二代農民工」に共通するのは、親世代ほどどん欲でない点だ。残業などを控え、貯金もほどほどに、カラオケや服、スマートフォンなどに享楽的に消費する。工場での給与も決して安くはなく、昇給もある。経済的豊かさを享受している実感はあるが仕事に邁進はしない。
 背景にあるのは、中国の都市部には我々日本人には見えにくい身分社会が未だに存在することだ。彼らは戸籍管理が厳しい都市では農民工であり、手厚い福祉を受けられる都市民にはなれない。都市では「半透明」な存在であり、がむしゃらに働き続けても、将来に希望を抱くことが許されない。彼らが享楽的に振る舞えば振る舞うほど、中国が抱える闇の深さが見えてくる。

週刊朝日 2013年4月26日号