キャッチセールスの現場に潜入するなどのルポを手がけてきた著者の新作。規制強化で路上でのキャッチは下火だが、雑誌の広告やインターネット上には「楽して一日5万円稼げます」など甘い誘い文句が無数に並ぶ。著者自ら片っ端から試したのが本書。
 消費者の嗜好の多様化から、現代の「おいしい話」も多岐にわたる。競馬の投資情報、幸運を呼ぶブレスレットなどの古典的な商品から、激安商品のネットオークション、フェイスブック上で有名人と知り合えるサービスまで。カネを払わせる手口は異なるが、問題商法の業者が購入希望者の経済状況を根掘り葉掘り聞きながら、懐事情に合わせて商品をすすめる点は共通する。不況下の今は、業者も金持ちだけをカモにしていては儲けられず、食いついた客に必死に営業しないと「おいしくない」時代なのだ。
 業者と著者とのかみ合わないやり取りも読みどころ。構成次第では抱腹絶倒の展開に持ち込めるのではと思える場面も少なくないが、あくまでも問題商法の実態究明に真摯に取り組む著者に敬服。

週刊朝日 2012年11月30日号