最近だと「カーネーション」が話題となったが、朝ドラを何年も習慣的に見続けている人は少なくないだろう。著者も「マー姉ちゃん」(1979年)に始まり、6歳の頃から全て見ており、日本人にとって朝ドラとは何なのか、そんな疑問から筆を執っている。
 朝ドラに登場するヒロインや家族、恋愛や結婚を丁寧に分析していくと、実に色濃く、女性の生き方や時代性が浮かび上がってくる。たとえば、朝ドラ人気に火をつけた「おはなはん」(1966年)では、ヒロインは再婚の話を断り、子どものために生きていくことを選ぶのだが、1986年の男女雇用機会均等法元年に放送された「はね駒」は、女性新聞記者の半生を描き高視聴率を取った。2000年の「私の青空」では、初めてシングルマザーが題材となっている。
 ドラマ制作に携わったスタッフへの取材も多く、その裏話がおもしろい。社会進出していく「はね駒」のヒロインの言動が「かわいくない」と、男性スタッフに不評だったという話には苦笑いしたが。

週刊朝日 2012年10月26日号