小説の取材のため、出会い系サイトを覗いてみた。
半年ぶりくらいにじっくり眺めてみると、出会い系サイトの傾向にも高齢化の波が押し寄せてきているようだった。
私のプロフィールをチェックした男性は、50代も多く、最高でなんと72歳というかたまでいた。奥様を亡くし、第2のパートナーを探しています、とプロフィール欄にある。私は30歳も年下なのだけど、これは近ごろ男性芸能人が若い奥様と再婚するケースが相次いでいるからなのだろうか。
そして20代30代の利用者にはイケメンが増えているようだ、と思ったが、よく見ると何かがおかしい。明らかにずば抜けてルックスがいい数人の男性には、見覚えがある。
私は彼らの画像を保存し、『画像検索』をかけてみた。最近のインターネットでは、気になる画像を検索することができる。たとえば作者が分からない絵画の画像をアップするとゴッホのひまわり、などとタイトルも判明することがあるのでとても便利なのだ。
で、素敵だなと思った男性の画像を検索してみたら、ことごとくヒットした。韓流タレント2人、日本の俳優2人、そしてヘアカタログモデル1人の画像だったのだ。
過去にもイケメンの画像をプロフィールに貼ってウソをつき、女性からお金を騙しとったという事件が何件もある。私はかえって気になり、タレント画像を貼っている男性達に連絡したくなった。
その出会い系サイトは眺めるだけなら無料だけれど、メールのやり取りをするなら1980円かかる。私は探偵気分で日本人俳優の画像を使用している32歳と自称する男性にメールを送ってみた。
『素敵なお写真ですね。ときめいちゃいました☆』
というような甘いセリフと共に、接近してみる。彼らはやはりお金が目当てなのだろうか。それとも別の目的があるのだろうか......。
翌朝、起きてみると彼から返事が来ていた。
『あなたとは年齢差がありすぎるので、おつきあいいたしかねます』
というお断りの文章がそこにあった。そうですか40代女性はダメなんですね、それは失礼いたしました......と、呆気なく関係が終了してしまった。ああ、1980円がなんだかもったいない!
こんなことなら最初からビシッと「あなたね、自分の本当の顔で勝負しなさいよ!」と彼を叱っておくべきだったかなあ......。