機密文書問題で米連邦捜査局が捜索した、デラウェア州にあるバイデン大統領の別荘。機密文書は見つからなかった(写真:ロイター/アフロ)

「バイデン氏は地球を半周した先の国境についてかなり懸念している。が、彼は私たちの国と家庭を守る国境を安全に保つためには何もしていない」(FOXニュースでのインタビュー)

 トランプ氏もソーシャルメディアを通じ、バイデン氏は「第3次世界大戦に米国を追いやろうとしている」と糾弾する。

 世論はどうか。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、今年1月時点で51%の米市民が「適正な」あるいは「不十分な」支援をウクライナに対して行っているとしている。つまり、現在の支援は過半数の支持を得ていることになる。「過剰な」支援としたのは26%だった。

■米市民の関心も下降

 一方、共和党員の中では41%が、「十分な」あるいは「さらなる」支援を求めている。しかし、40%は軍事支援を減らすことを求めている。

 ウクライナでの開戦から1年が経ち、米市民の関心も下降しているのは事実だ。ニュースサイトAxiosによれば、ウクライナ戦争に関する記事の読者数は2022年3月には4億5千万人に迫った。しかし、今年2月14日時点では2460万人に激減している。ソーシャルメディアでも同じ傾向がみられる。新聞・テレビは戦争報道を地道に続けているものの、読者や視聴者の関心を維持するのには苦労している。

 冷静な分析もある。米紙ワシントン・ポストは、米政府高官がウクライナに対し、「私たちは、永遠に何もかもができるわけではないことを印象づける努力を続ける」と述べたと報じた。バイデン政権内でさえ、軍事・経済支援が今後、厳しくなるとみていることが分かる。下院で共和党が多数派であり、国民の関心も低迷しているためだ。

■停戦交渉も見据える

 政権はロシアとの停戦交渉も見据えている。

 ただ、その前にウクライナに対し、できるだけ多くの領土を奪還するように求めているという。バイデン氏はゼレンスキー氏との会談で、停戦交渉への道筋について何通りも話し合ったと伝えられる。

 ウクライナ支援を全面的に続けるかどうかは、バイデン氏にとって24年大統領選挙とも密接な関係がある。

「(大統領選に)立候補するのが当初からの私の考えだ」

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