息子が15歳、高校1年にして大検(高卒認定)に全科目合格を果たした。本当は一発合格を狙っていたのだけれど、以前財布を忘れて遅刻するという大失態で1科目落としていたため、2度目の挑戦でどうにか合格を得た。受験料は合計13000円だった。
それで気づいたのだけれど、もう高卒相当だと認められたので、高校を退学しても構わないのだ。海外の大学だけでなく、近ごろは日本でも10校近くの大学に高校2年修了時から飛び級で入学できるシステムがあり、中には息子が志望している数学科もある。17歳で大学に行き、大学3年の時に大学院に飛び級すれば、なんと20歳で院生となることも不可能ではない。
これは素敵だ!と親の私は思った。2年も学生期間が短縮されるということは、2年分の学費が浮くということなのだから。
「おまえ、こんないい飛び入学というのがあるよ!」
と息子に勧めてみたけれど、彼はきっぱりと、
「僕は今の高校が楽しいから、卒業までみんなといるよ」
と言い切った。
そもそもなぜ高卒認定試験を受けたかというと、息子が中学3年時に不登校だったからだ。中学と違って高校は、不登校になると単位が危ない。なので保険のつもりだった。万が一再び不登校になっても、この試験に受かれば、大学受験は可能なのだから。
ちなみにこの高卒認定試験、合格率は36%と、想像よりも低いとはいえ、40点で合格できるため、高校1年でも充分に合格を狙えた。息子は数学が得意で高校の範囲も理解できていたし、他の科目もほとんどが中学での学習の延長戦線上にあるものなので、世界史以外は苦労しなかったという(世界史は高校で初めて習うので勉強は必要だったのだ)。
その数日後、息子がそろ~っと期末試験の結果を私に見せた。なんと世界史で赤点を取っているではないか!
「ちょっと! 高卒認定で世界史、受かったのになんで?」
「難しかったんだよぅ。あ~あ、留年したらどうしよう」
「高卒認定取ってあるから、卒業できなくても大丈夫といえば大丈夫だけど......」
「あっ、そっか~!」
不登校への備えで受けた高卒認定試験だったはずなのに、このままでは息子が高校で単位をいただけない時の保険へと変わってしまいそうで、情けなく思う母なのだった。息子よ、ちゃんと高校を卒業しておくれ......。