先日、演劇の招待をいただいた。仕事がら映画や演劇やパーティーにおよばれすることもあるのだけど、今回のご招待はペアだった。ということで、イケメン20代男子に「演劇いっしょに行きませんか?☆」と明るくメールを打ってみた。
明るくメールを打つのには理由がある。あまり深刻に誘ったら向こうも重く感じるだろうから。演劇を一緒に観るということは終わったらお茶くらいはするかもしれないし私としてはデートのつもりなのだけど、そんな匂いをさせたら恐ろしくてやってきてくれないだろう。だから「もしよかったら行きましょ」と軽くメールをしたのに、彼からは24時間経っても返事がない。もしかしたら返事に困っているのかもしれない。
劇まであと1週間もない。このまま返事がなく開演を迎えたら彼と気まずくなりそうで、それはいやだったので、私は早々に回避メールを送った。
「誘っておいてごめんなさい。仕事が入ってしまったので劇に行けなくなっちゃいました」
仕事のせいにして今回の誘いをごまかそうとしたのだけれど、そうしたらすぐに彼が返事が来た。そこには、
「一緒に行きたかった」
と書かれていて、ビックリした。だったらなぜ早く返事をしないのだろう。いやいやおべっかで言ってるに違いない。などと考えているうちに、また別の演劇のご招待をいただいた。でもペアではなかった。彼を誘いたい私は良いことを思いついた。彼のぶんのチケット8000円は自腹で買えばいいのである。イケメンとデートするためならチケット代は全然惜しくない。
そんな私の裏工作など知らず、彼は今度は劇の誘いを素直に受けてくれた。バンザイ。帰り道はクリスマスイルミネーションも綺麗そうだし、いいぞいいぞと楽しみにしていたのに......。なんということだろう。当日、私に今度は本当に仕事が入ってしまった。
しかたなく彼に連絡をした。
「私は行けなくなりそうだけど、席は用意してあるので、劇を楽しんできてね......」
張り切って仕組んだのになんてことだろう。しょんぼりしている私に彼からの返信がやってきた。
「みかさんと一緒じゃなくちゃいやだ」
その言葉にちょっとキュンとしてしまった。すれ違いの私たち。3度目の誘いでは無事に一緒に観劇できますように。