半年ぶりくらいに出張ホストを呼んでみた。ただ一緒にランチをして、かかったお代も2000円だけだったけれど。
新人ホストの時給は1000円や2000円という激安価格であり、ホスト業界のデフレも相当ギリギリのところまで来ていると思う。そして現れたホストくんもデフレ仕様なのか、首の周りが伸びかけている黒い薄手のトレーナーにジーンズという出で立ちであった。気分的になんかしょんぼりしちゃったけれど気を取り直して入ったレストランがこれまたデフレの影響なのか、ランチ価格が下がり、お味も今ひとつになっていた。
私が出張ホストを呼ぶ時は、仕事が一段落して自分へのごほうびに、綺麗な男の子とちょっと豪華な食事(子どもがいるのでランチがほとんど)をしたいからなのに、この日はそんなこんなでちっとも気分が上がらない。
そして出張ホストとして呼んだ彼にどう?指名は結構入ってる?と尋ねると、1ヶ月で3人ほどからお声がかかっただけだという。
「これだけじゃあ食えないですね」
とあきらめ気味だ。
私はこの不況で、とあることを妄想していた。それは、お金に困った美男子たちが、出張ホストの世界に流れてくるということだ。
しかし不思議なことに、今のところ男の子達の顔ぶれに大きな変化はない。もちろん一定確率で美男子は入店するけれど、その確率が上がったようには見えないのだ。「キミみたいなカッコイイ男の子とデートできるなんて、うれしいわ☆」
と目尻を下げたいのに、そんなことにはならない。自分なりにリサーチしたのだけど、イケメンズが資格取得や英会話など、なんと内面磨きをしてキャリアアップを狙っているらしいのだ。最近は美男子も増えてきたし、顔だけではこの不況を生き抜いていけないという予感がしてのことなのだろうか。
しかし美男子の代わりに出張ホスト業界にはとある人たちの登録が増えているという。それは中高年のかたがただ。
私とランチを食べながら、その新人ホストくんはぼやいた。
「僕でさえ3回ですよ? おじさん達は指名すらされてないと思うんですよ」
世の中にはおじさま好きの女性もいるけれど、それはごく一部で多くは私のように若いイケメンにしかお金を払いたがらないだろう。
おじさまがたがどのような気持ちで登録したのか、いつか指名して身の上話を聞いてみようかなあ。