東郷和彦さん(78、右)。政治学者・元外交官。外務省で欧亜局長、オランダ大使などを歴任。著書に『プーチンVS.
東郷和彦さん(78、右)。政治学者・元外交官。外務省で欧亜局長、オランダ大使などを歴任。著書に『プーチンVS. バイデン ウクライナ戦争の危機』など/廣瀬陽子さん(50、左) 慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は国際政治、旧ソ連地域研究。主な著書に『ハイブリッド戦争 ロシアの国家戦略』など(photo 写真映像部・高野楓菜)

 クリミアは非常にセンシティブです。もともとロシア系住民が大多数だった地域であり、現実問題として、クリミアをウクライナに戻しても新たな問題が出てくると思います。私は2015年にクリミアへ行きましたが、完全にロシア化していました。インタビューした住民が口をそろえて「ロシアになってよかった」と言っていました。経営者や小売業は、ウクライナ時代は「みかじめ料」を徴収されていたけれど、ロシアになってからは自由にビジネスができている、と。当局の目もあったため本音を言っていない可能性もあるのですが、クリミアのロシア化が顕著なのは事実で、どのように再ウクライナ化するのかは大きな課題でしょう。

(構成/編集部・古田真梨子)

AERA 2023年3月13日号より抜粋