6年前に夫を亡くす。50歳の長男と46歳の長女、3人の孫がいる。現在は、パートナーである70歳のFさんと2人暮らし。
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70歳のときに死別したE子さんの夫は、ある地方都市で新聞の総合販売店を経営していた。
商売は成功し、カネに困ることはなかったものの、亭主関白で、結婚した当初から別の女性と次々に関係を持つ夫に辟易していた。
その夫が亡くなったとき、
「夫の葬式でうれしさで口の端がゆるむって最低な未亡人だよ」
と娘に言われるほどE子さんは解放感にあふれていた。
待ちに待った独身生活を謳歌するように、E子さんは友人とよく飲みに出かけた。友人の一人が連れていってくれたのが、6歳年下のFさんが腕をふるう料理店だった。
料理も店の雰囲気も気に入ったE子さんは、その店に頻繁に通うようになり、Fさんに相談や愚痴などを聞いてもらっているうちに、次第に仲良くなっていった。
ある夜、E子さんがひとりでFさんの店に飲みに行った。つい話が盛り上がって閉店の時間になってしまうと、Fさんから「店の2階で飲み直そう」と誘われ、そこで体を求められた。ごく自然な成り行きだった。
それからは毎日のように、店が閉まる時間に行っては片付けを手伝い、そのまま2階で関係をもつようになった。
「70歳も超えてこんなふうに毎日セックスできるのだと自分でも驚いた。お互いに性豪だったのに、それを隠して過ごした70余年だったのかもしれません」
とE子さんは照れる。
出会ったころに比べれば頻度は低くなったものの、今でも週に1回は愛し合っている。