そう考えると、エンゼルスが仮に今のトレンドに則りチーム強化を目指すのであれば、一人でも多くの有望株を招き入れなければいけない時期にあるのは間違いない。その場合、複数の有望株を見返りとして獲得できる価値のある選手をトレードの俎上にのせる必要性があるが、現在のチームを見る限り、そこに該当するのはトラウト、そして大谷の2人以外に見当たらない。また、大谷は2023年オフにFAになるため来季までがタイムリミットだ。また、来年の今頃は大谷が現在のように活躍しているか保証されているわけではないため、もし将来へ向けて舵を切るのならば、今が“売り時”と言えるかもしれない。

 他のチーム強化としては、オフに実績のあるFA選手を獲るという方法もあるが、これも現実的ではない。エンゼルスの選手たちの今季の年俸総額はメジャー全体で8位(1億9029万6405ドル/約259億3000万円)と高い順位だ。最も高いトラウトが3710万ドル(約50億円)、続くアンソニー・レンドン内野手が3660万ドル(約49億4000万円)と2人だけで4分の1強を占め、トラウトは2030年、レンドンは2026年まで同規模の契約が残っている。また、大谷も先述の通りFAの時期が迫っており、引き留めるために大型契約を提示しなければいけないことを考えると、さらに実績あるFA選手と契約するのは難しくなってくる。

 そして、ネガティブにならざるを得ないのが高年俸のレンドンがFAからの加入以降、怪我の影響もあるとはいえ、ほぼ戦力にはなっていないことだ。今年のオフに大物FA選手を獲得したとして、そのプレイヤーが活躍しないとなると“不良債権”を複数抱え、身動きが取れない状況になる危険性もはらむ。かつてエンゼルスではアルバート・プホルス内野手がそうなってしまったように、大型契約で獲得した選手が“足かせ”になるケースは多い。そういった意味では、実績のある選手を獲得してチームを強化するというのも、現実的ではないかもしれない。

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エンゼルスは大谷との“別れ”を決断できるか