撮影:児玉浩宜
撮影:児玉浩宜

 泊まっていたホテルの近くにも攻撃が及んだ。砲撃音も相変わらず鳴り響いている。ただ、「そういうのには慣れてはくるというか、神経がまひしてくる」。

 しかし、何度体験しても恐ろしかったのはロシア軍が撤退する際、追撃を阻むために埋めた地雷だ。

「必ず、先を行く兵士の後ろをついていくように言われても、その兵士をどこまで信用していいのか、わからない。まったく人が入っていないところもありました」

 地面に足を踏み出した瞬間、自分は吹き飛んでいるかもしれない。そんな恐怖に苛まれ、足がすくんでしまう。

「実は、東京に帰ってきてからも、地雷のことを思い出して、アスファルト以外のところを歩くのはちょっと嫌でした」

撮影:児玉浩宜
撮影:児玉浩宜

■一度関わった以上ずっと撮っていきたい

 当然のことながら、ウクライナに滞在中はできるかぎり安全に気をくばった。

「けがをするような事態に巻き込まれなようにするだけでなく、メンタル面にも気をつかいました。なるべく何もしない日をつくったり、近場の取材しかしない日を設けたり。現地ではもうほんとうに自分しか頼れないですから」

 現地で知り合った人たちと釣りに行ったり、DJパーティーに出かけたこともある。

「そういうことに気持ちが救われた部分もあります。それに、自分がそういう場所に行って感じたことをしっかりと写真でかたちに残しておきたいと、すごく思いました。でないと、記憶は薄れていってしまいますから」

 今後、ウクライナを訪れる予定は?

「できれば年内にまたウクライナに行きたい。一度関わってしまった以上、何らかのかたちでずっと撮っていきたいと思います」

アサヒカメラ・米倉昭仁)

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「戦時下のウクライナを巡った50日」
旅の本屋のまど(東京・西荻窪) 7月14日19:00開場19:30開始
入場料1000円(オンライン配信あり)
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