理系のイメージが強いデータサイエンスだが、実は文系の思考も必要だ。大学では「データサイエンス」を学ぶ学部・学科が続々誕生し、大学院でも文系学部出身の学生が学びやすいカリキュラムを展開している。好評発売中のアエラムック『大学院・通信制大学2023』では大学教育におけるデータサイエンスの現状と、2023年度に学部と大学院を新設予定の一橋大学に取材をした。
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本格的なデジタル社会を迎えて、注目されているのがデータサイエンスだ。統計や人工知能などを用いてデータを分析する技法で、さまざまな問題解決の糸口にもなると、ビジネス、医療、政治経済など、あらゆる分野での活用が期待されている。これらのデータを扱うデータサイエンティストは、IT推進国の米国では学生に最も人気のある職業で、世界的にも注目されている。日本は立ち遅れていたが、2017年度に初めてデータサイエンス学部を設置した滋賀大学を皮切りに、同学部・学科を開設する大学が急速に増加。政府も危機感を抱き、「AI戦略2019」をはじめ、国家戦略でも人材の必要性を謳い、文部科学省では21年から大学などを対象に数理・データサイエンス・AI教育プログラムの認定制度を開始した。
データサイエンスを研究に取り入れる大学院も増えているが、文系学部を卒業した学生にとってはハードルが高く感じられるようだ。文系出身者はデータサイエンスを学べるのか。大学院受験予備校中央ゼミナール講師の赤田達也さんは文系、理系で幅広く対応し「アメリカのように、日本でもデータサイエンスで修士号を取るような文化が広がってほしい」と次のように話す。
「前提として文系と理系がはっきり分かれている国は少数派であり、日本でも文系と理系を分けない文理融合型の学部や大学院が増えています。データサイエンスは理系のイメージが強いかもしれませんが、文学研究などでもデータサイエンスの手法は使われており、むしろデータサイエンスと関係のない研究科のほうが少ない。文系と親和性がないわけではありません」