「親による宗教の縛り付けは虐待」と語るカルト2世の高山彩子さん(仮名)
「親による宗教の縛り付けは虐待」と語るカルト2世の高山彩子さん(仮名)

 5年ほど前からSNSを始めた友子さんはこうした状態に多くの2世たちが悩んでいることを痛感している。

「今はSNSがあるので、同じ悩みや問題を持った人と情報交換や相談できる機会も増えたと思うし、それによって救われることもあると思います。私自身もそれで救われた面があるので、虐待や苦痛をうけてきた子どもたちのサポートをしたいと思っています」

 カルト2世として生まれた高山彩子さん(36・仮名)は、ずっと母親から、こう教えられて育ってきた。

<この世の中はサタンが住む悪の世界>
<婚前恋愛・性交渉は禁止>
結婚相手は選べない>

「両親は教団が行うマッチングで結婚しました。父の家系は身内に病弱な人が多く、またギャンブルで失敗した人もいたそうで、19歳で入信したそうです。母は人間関係での悩みが多かったらしく、人生の目的や生きる意味を求めてたくさんの宗教を渡り歩いたそうですが、どれも心に響かなかったそうで、ようやく巡り合えたと感じたのがこの教団だったと聞きました。『私の疑問にいつも明確な答えを与えてくれる』といつも話していて、母にとってはそれが心の平安になっていたようです」

 教団の教えでは、信者同士の家庭から生まれた子どもは原罪のない「神の子」として神を中心とする家庭を完成させるといわれる。それゆえ「2世」は、自分たちは他の人とは違うんだ、という選民思想が強くなっていったと彩子さんは言う。

「先祖供養は8家系430代までさかのぼって供養するように勧められます。正確な金額はわかりませんが、一代ごとに数十万円の献金が必要だと言われていて、さかのぼっていくほど額も大きくなるようです。うちは400代ぐらいまで供養しましたから、最終的には数千万円は献金したのではないでしょうか。この他にも、あれこれと教団への寄付をしていましたから、トータルで家一軒分ぐらいのお金は教団に流れていったと思います。大学受験の時に、同級生たちが塾へ通っていたので私も行きたいと言った時に『そんな余裕はない。大学も国公立以外は行かせられない』ときっぱり言われ、あの時初めて、ああ、うちは貧乏なんだ、と実感した記憶があります」

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親による宗教の縛り付けは虐待