
少しくらい眠れなくても、暑い日に日光に当たってダーっと汗をかくのが、俺の夏バテ防止法かもね。そんな俺でも、相撲時代は日焼けしている人を「馬鹿じゃないの?」と思っていたこともあった。でも、プロレスに入ってからは黒い方がたくましく、強そうに見えるから日焼けするようになったんだ。「30分のトレーニングよりも、30分のタンニング」とよく言ったもんだ(笑)。
俺だけじゃなくて、夏になると調子が上がってくるプロレスラーもいっぱいいたよ。その代表がジャイアント馬場さんだ。馬場さんは自分でも「俺は暑い方が調子がいいんだよ」と言っていたし、確かに夏の方が動きがよかったと思う。逆に冬はストーブの前から動かなかったが(笑)。馬場さんはことあるごとにハワイに行っていたから、からだがハワイ仕様になっていたんじゃないか? 特に真冬にハワイから真っ黒に焼けて帰って来ると、当時は「俺らが稼いだ金で行きやがって!」なんて悪態ついてたもんだ。
そうそう、やっぱり夏はハワイ出身者も調子がよさそうだったよ。キング・イヤウケアやドン・ムラコは夏はいつも元気だったし、曙もあれだけ大きなからだをしていても、夏場に暑くてどうのこうのなんて言っているのを聞いたことがない。もしかしたら、ハワイっていっても、ワイキキ以外はけっこうな田舎だから、都会の東京に来てはしゃいでいるだけだったかもしれないな……。それに、相撲もプロレスも裸でやる商売だから、冬に調子が上がらないのも当然か……。
相撲時代は夏巡業で印象的な力士がいたね。巡業であちこち回るときは、風呂に入ってから取り組みをして、終わったらすぐに移動で風呂に入れないから、土俵に転がされるのをみんな嫌がるんだよね。投げて転がされようものなら「この野郎、転がしやがって!」と文句を言われるもんで、吊りだしとか押し出しといったいい加減な決まり手が多くなるんだよ(笑)。それでも巡業は「花相撲」という言葉もあるくらいで、力士の顔見せ的な意味合いも強いから、相撲取りもお客さんもお互い「こんなもの」という感じなんだよね。