「『絆』(得点曲)、『ドライブ』(チャンス曲)という2曲を制作しました。制作段階から応援関係者と綿密な打ち合わせをして曲の方向性を決定しました。普段野球に触れることのない皆さんにも参加しやすいように、チャンス曲では簡単な合いの手を入れる箇所を作りました。また得点曲ではうちわを左右するに振る動きで多くの方々が一体となった応援を作ることができました。社員の皆様には感謝しております」
「試合当日は段取りの良さにも驚きました。回が終わるごとに行う応援、出し物のシナリオが固まっている。和太鼓演奏など、お客さんみんなが楽しめるエンタメ空間になるようにも配慮されています。都市対抗は選手にとっては社会人野球トップを決める場所ですが、スタンドはまさに野球の夏フェスだと思いました」
~学校応援で最も大事なのは選手の思い、気持ち
「東京ドームの内野席でトランペットが吹ける日が来るとは思わなかった」と振り返る。トヨタ自動車の応援に参加したことで、他カテゴリー、競技との違いも感じたという。
高校には多くの楽曲提供をしてきた。『チャンス早稲田佐賀』(佐賀県・早稲田佐賀高)、『青のプライド』(奈良県・奈良大附属高)、『めっ声東邦』(愛知県・東邦高)等、話題になっている楽曲も多い。大学でも『カイザー』という曲を提供した関西大は、2019年の第50回明治神宮大会で準優勝となるなど影響力を発揮した。
「2017年に早稲田佐賀高が甲子園に出場した際には、私もアルプススタンドで演奏に加わりました。選手への近さ、学校単位での盛り上がりという点では都市対抗と似ているかもしれません。声援や音が選手へ直接、届いているんだろうなと思いました。スタンドの生徒からは笑顔も見えますが、必死さが伝わってきます。青臭い言葉ですが『青春』を感じられる場所です」
「楽曲制作で大事にしているのはコミニュケーションです。私にとっては縁がなく初めて関わる学校ですが、生徒や関係者の意見を聞き、学校の雰囲気、歴史など背景にあるストーリーを感じ取り最大限に引き出すことが重要です。実際に学校へ足を運び、意見を聞いた上で着地点を見つけ出します。早稲田佐賀高では『唐津』、東邦高では『めっ声』(めっちゃ声を出すという意味で学校で使われている言葉)を入れ込みました。生徒側から提案された言葉です」