放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、リアクション芸人・出川哲朗という人のおもしろさについて。
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僕が19歳で東京に来て、一番最初に街で見た芸能人は出川哲朗さんだった。丸ノ内線の中で見た。「あ、出川だ!!」と思った。あの時の僕は、のちにその人のことを心から尊敬している人が妻になるだなんて思ってもない。
出川哲朗さん。「リアクション芸人」である。そんな出川哲朗さんの出演するNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」がかなり話題になっていたので、見させていただいた。
まず、出川さんをプロフェッショナルとして主人公にするという最高の企画のおもしろさがある。
だけど、見る前にいくつかの不安もよぎった。一番思ったことは「種明かし」である。お笑いにはいつからかお笑いを語るという文化が出来始めた。視聴者もそれを含めて楽しむようになった。
だから、この番組で、リアクション芸人としての出川さんを突き詰めようとするがあまり、格好よくなり過ぎていたり、種明かし的なことになっていたりしたら、そのあとの出川さんをあまり楽しめなくなってしまうかもしれない……と思ったのだが。
余計な心配だった。
うちの妻、森三中・大島美幸もリアクション芸人である。芸人になって、「お笑いウルトラクイズ」に出たくて出たくて仕方なかったが、妻がテレビに出るようになった時には、その番組はなかった。だが、僕と結婚して数年後、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」は復活した。そして出演オファーが来た。
ロケ当日の朝、妻はとても目を輝かせて仕事に出かけた。遠足に出かける小学生のように。
結果、下着姿で逆バンジーされるという、「夢」が叶った。あの日家に帰ってきて、その経験をとても楽しそうに熱く語っていた。
目標とする出川哲朗、上島竜兵にちょっとだけ近づけたからだろう。