出川哲朗さん
出川哲朗さん

 話が逸れたが、番組では、出川さんが普段開けない引き出しも開けていた。

 芸人さんには色んなタイプがいる。出川さんのプロフェッショナルを見て感じたのは、やはり年を取れば取るほど、出川哲朗という人のおもしろさが伝わりやすくなっている。お笑いが大好きで熱い男。40後半を過ぎたころから、とっくに芸人さんは感じていた、出川さんの人としてのおもしろさが、テレビを通してよりお茶の間に伝わるようになった。

 芸人さんは、何歳でどんなスタッフと出会うかも運である。出川さんは40後半から日テレ「世界の果てまでイッテQ」という番組を通して、芸人さんとしてのおもしろさがよりポピュラーに伝わるようになり、そして、テレビ東京「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」では、さらに、人間としてのおもしろさが伝わった。

 出川さんのおもしろさとは何だろうと考える。それは「真っすぐである」ことだと思う。真っすぐだからおもしろい。でも、真っすぐに生きることは難しい。だけど、出川さんは真っすぐだ。自身でも最後に言っていたがプロフェッショナルとは「ブレないこと」だと。

 番組最後にジェットコースターに乗りながらプロフェッショナルを語るシーン。正直、あれをおもしろくするのってとてつもなく難易度が高いことだ。でも、出川さんは、裏笑いに行くことなく、番組がやりたいであろうこと、番組がこうなったらおもしろいだろうことを真っ正面から受け止め、爆笑できる映像にしていた。あれぞプロ。

 真っすぐだ。

 僕の実家は千葉県南房総市。千葉の最南端だ。ある時、実家に用があって帰ったら、海沿いを一台のバイクが通っていった。見たことあるヘルメットをかぶっていた。「あれ?」と、車で少し追いかけて行ったら、なんと出川さんだった。「充電~」のロケで、自分の実家のすぐ近くをバイクで走っていた。当たり前だが思ってしまった。「本当にこうやって走ってるんだ」と。

 バイクで走る出川さんは、真っすぐだった……。

 出川さん。長生きして、ずっとずっと笑わせてください。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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