女の子のご両親もわかってくれたらしく、
「これも何かのご縁ですね。よかったら家にご飯食べに来てください」
と誘ってくれたのです。
女の子の家で、神戸牛のすき焼きをご馳走になりました。
ちなみに、右に心臓がある僕が飛ばした風船を、右に心臓がある女の子が拾う確率は、37億分の1だそうです。
37億分の1というのは、V6の東京ドーム・コンサートで三宅君が投げたサインボールをキャッチした人が、次の公演でまた三宅君のサインボールをキャッチする確率と同じなんだそうです。
テレビでこの話をしたときに、教えてもらいました。
右に心臓があるって、どんな感じかって?
そやなー。
僕はルックスもよくなくて、「汚い中華料理屋の換気扇」なんて言われたこともあるぐらいだし、アマチュアのホームレスというか、芸人ですって名乗ってはいるけれど、自分になにか強烈な武器があるのかなと思うと、あんまり思いつかなくて、それがすごいコンプレックスなんですね。
そういうパッしない自分にとって、右心臓はフックみたいなもの、名刺みたいなもんかもしれません。
居酒屋で酒飲んでるおっちゃんが、
「チャンス大城ってお笑い芸人いるやんか」
「ああ、あの心臓が右にあるやつな」
って、名前の次に思い出してくれるもの。
「中学の時に、サイトウっていたやんか」
「ああ、あの牛乳二秒で飲むやつな」
っていうのと同じ。
「猫ひろしっているやんか」
「ああ、カンボジア代表でオリンピック出たやつな」
僕の右心臓は、サイトウ君の牛乳、猫ひろしのカンボジア代表みたいなものかもしれません。
僕はずっと、二枚目俳優とか歌舞伎役者はズルイと思っていました。だって、あの人たちは遺伝子とか血筋とか、いくら努力したって僕には越えられないものを持ってるじゃないですか。
でも、最近気づいたんです。
「自分にも、努力せんでも持ってるもんがあったんや」
って。
それが、右心臓です。いくら二枚目俳優や歌舞伎役者さんが努力したって、心臓を右には移動できないですもんね。
名前の次に思い出してもらえるものがなくてコンプレックスに思っている人がおったら、この本を読んでもらって、
「こんなやつが右心臓だけで生きて行けるんやから、自分はこれがあったら生きて行けるんちゃうか」
なんて、感じてもらえたらいいと思うんです。
※続きはチャンス大城さんの『僕の心臓は右にある』でお楽しみください。