あらゆるトラブルにおいて「言った」「言わない」は永遠の問題ですが、結局お互いの思い込みが食い違いの「火種」となり、さらにはガソリンになってしまいます。1秒を争う生放送の現場ではなおさら。
指示を受ける側も、
<つまり、こういうことですか?>
<だったら、このようにやってみましょうか?>
と前向きに提案しながら、自分と相手の頭の中のイメージを言葉で形にしていきます。
例えば、冒頭で話題にした「ゆったりした番組運び」を目指すのであれば、「では、紹介するメールとメールの間に2、3秒の間を作ってみますね?」と、具体的な提案をしてみます。
「そうそう!」と答えてもらえるときもあれば、「いや、しゃべり自体ちょっと早口になってるから、話すスピードを落とす感じで」と、相手も何をどう変えたいのかはっきりしてきます。
こうしたやりとりこそ、ゴールを言葉で形にするコミュニケーションの「芯」。互いに言葉をかけやすい空気が生まれ、チームワークも高まり、イメージの「誤差」も減っていきます。
自分が指示を出すときも同じ。自分が明確に説明せず、ふんわりしたイメージ言葉で相手に丸投げして、結果「頼んだのと違う」とガックリした経験はありませんか?
「これくらい説明しなくても理解してくれるだろう」と都合よく思い込み、言葉で説明するのをサボってしまったら、痛い目を見るのは自分です。
今ふと思ったのは、これって、美容院で新しい髪型に挑戦するときも起きる現象ですよね。髪を切られている間も、心の中で「なんか思っているのと違うけど、最後にきっと自分がお願いしたスタイルになるはずだ」と期待しつつ、終わったあとに「いかがですか?」と鏡を渡されて見てみたら、「お願いしたイメージと全然違う(ガーン)」みたいな。
そもそも自分の頭の中で描いたイメージは人には伝わりづらいもの。伝える努力は手抜きしちゃダメですね……涙。
【ここまで聴いてくれたあなたへ】
思い描くイメージの違いは言葉でほぐしていく。
(構成/小川由希子)