加えて、「議論になったら面倒だな」「仕事の進行が滞るかも」と、互いの考えを言葉にして伝え合うことをつい避けてしまうから。
しかし、そのまま確認せずに共同作業を進めていったらどうなるでしょう。例えば、話す理想のスピードに対する感覚がお互いに違っていたり、「おしゃれな雰囲気」の解釈がひとつのイメージに落とし込めていなかったり。すると、徐々に両者のズレが大きくなり、仕事にも人間関係にも、大小の事故が起きてしまいます。
だからこそ、相手とズレを感じて迷った時点で、
「完成はこういうイメージですよね?」
「私たちが目指している理想はこういうことですよね?」
と、あらためて言葉にして確かめておきたいものです。
一刻を争う生放送中の現場では、いかに的確な言葉で次の動きを共有するかが鍵です。
生放送中、スタジオのアナブースには私ひとり。ガラスを隔てて調整室にいるディレクターとは「トークバック」という放送には乗らない音声回線で業務連絡をします。その際に気をつけているのは、「とにかく具体的に」ということ。
「ちょっと」じゃなくて「5秒くらい」、「焦らずに」ではなく「文章と文章の間をあける」など。言葉が具体的であれば、生放送中の「違う違う そうじゃなくて!」「え、違いました?」という伝わらないストレスもぐっと減ります。
■察するより、尋ねる
漠然とした指示で丸投げしてくる人には、具体的な言葉を引き出すため、こちらから質問するしかありません。相手が上司、しかも「このくらい自分で考えろ」「察しろ」という人だと、質問するのも正直ちょっと怖いのですが、そこで引いてしまうと、チームの結果に響きます。
やり直しをさせられたり、「指示と違う!」と理不尽なダメ出しをされると、お互いイライラは募りますし、そこまでの仕事や時間が無駄になってしまうことも。
だからこそ、途中のプロセスにおいて、「?」と思ったときこそ、言葉にして確認する。