身長173センチと身体的に恵まれている訳ではないが、それを補って余りある優れた技術と高いインテリジェンスを持ち、並外れた闘争心とメンタリティーの強さで自らのプレーをピッチ上でエネルギッシュに表現する。すでにスペイン代表の欠かせない戦力となっており、2歳上のペドリとのコンビは、ラ・ロハ黄金期の「チャビ&イニエスタ」を彷彿とさせる。カタールでスペイン代表が再び優勝トロフィーを掲げることになれば、それはすなわち「ペドリ&ガビ」の新時代が到来したことを意味する。

 スペインと同じく王座奪還を目指すドイツ代表には、天才MFフロリアン・ヴィルツ(レバークーゼン)がいる。2003年5月3日生まれ。2020年5月に17歳15日でのブンデスリーガ史上3番目の若さでデビューし、翌月には17歳34日でのブンデスリーガ最年少初ゴールを達成。2021年9月には代表初出場を果たした。特筆すべきはプレーの美しさ。滑らかな身のこなしと鋭いフェイントで相手DFを軽々とかわし、広い視野と優れた状況判断力で上下左右の空間を自在に操りながら絶妙のキラーパスを繰り出す。

 得点力も高く、かつ対人能力の強さも持ち合わせ、「皇帝」の称号を背負う資格を持つ逸材だ。2021-22シーズンに公式戦31試合に出場して10得点14アシストの大活躍を見せていた最中、今年3月に左ひざ前十字じん帯断裂の大怪我を負って現在も長期離脱中だが、ドイツ代表のビアホフGMは「私は彼が(W杯本大会に)間に合うと確信している」と発言。才能に疑いの余地はなく、W杯の舞台で自らの復活と実力をアピールしたいところだ。

 ドイツ代表にはもう一人、特大のポテンシャルを持つMFジャマル・ムシアラ(バイエルン)がいる。2003年2月26日生まれ。ナイジェリア系イギリス人の父とポーランド系ドイツ人の母の間に生まれ、8歳から16歳まではチェルシーの育成組織に所属。U-15時代からイングランドの世代別代表でプレーしていたが、18歳の誕生日を前にドイツ代表を選択した。身長184センチの肉体は、強く、しなやか。両ウイングやトップ下の位置からずば抜けたスピードと独特のリズムでのボールタッチでチャンスを創出し、ゴール前の密集をすり抜けながら軽快かつ優雅にゴールネットを揺らす。

 2021年のEUROにも出場した後も成長を続け、2022-23シーズンは開幕から2試合で3得点の活躍。所属チームでも代表チームでも激しいポジション争いを勝ち抜く必要があるが、最近ではボランチでの起用にも対応。ここからW杯本大会までの3カ月の間にも自身のプレーを進化させることができる状態にあり、カタールの地で爆発する可能性を持っている。

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アフリカ勢にも期待の10代