芸歴32年、いま、お茶の間の記憶に残る男として、TV出演急増中の芸人・チャンス大城(本名:大城文章)さん。そんなチャンス大城さんが自らの半生を赤裸々に語り下ろした『僕の心臓は右にある』には、芸人さんはもちろん、超有名タレント、超有名ミュージシャン、プロレスラー、作家、マンガ家さんなど、プロの方々からの絶賛ツイートが続々と上がっています。本書から、東京で地下芸人をしながらお酒でやらかしたエピソードを、抜粋、編集して紹介します。
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地下芸人暮らしは楽しいこと面白いことの連続のように思っている人も多いかもしれません。たしかに何の責任もない気楽な生活ですが、食っていくのは厳しいです。
いつか売れるという保証もなく、マネジメントしてくれる事務所もない。そういう不安や不満を紛らわすために、どうしてもお酒の量がふえてしまっていました。
家を追い出された僕がしばらく居候させてもらっていた俳優の中井良ちゃんも、酒を飲むと妙なことをやりたがる癖がありました。
居候を卒業して、再びアパートで独り暮らしを始めた頃のことです。
良ちゃんと飲んでいたら、なぜか服を全部脱がされてしまったのです。全部って、正真正銘の全部。パンツまで脱がされたのです。
しかも良ちゃんは、ズボンのポケットに入っていた財布から携帯から部屋の鍵から一切合切を、服と一緒にどこかに持ち去ってしまったのです。
もちろん、良ちゃん自身もどこかに消えてしまいました。
つまり、僕は全裸で町に放り出されてしまったわけですが、これには本当に困りました。
なぜなら、当時僕が住んでいたアパートは、1階がいつも喧嘩ばかりしている夫婦がやっている定食屋で、2階が風呂なし共同便所の貸し部屋になっていたのですが、定食屋の入り口の横にある内付け階段にドアがついていて、そのドアの鍵を開けなければ2階に上がれない造りになっていたからです。