放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、映画「さかなのこ」から感じとれることについて。
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うちの息子・笑福は今年7歳になり小学校に通っています。平仮名などを教えていなかったため、4月に入学し、平仮名を覚えることにかなり苦戦していました。夏休み前に、出来てない子は数人だったようです。夏に頑張って、だいぶ読み書きできるようになりましたが、
僕も妻も、めちゃくちゃ勉強が出来る子になってほしいとは思っていません。そこに興味があるならいいのですが。
文字に関しては、覚えた方が笑福の大好きなゲームや映画などでも、楽しみ方が増えるので、覚えてほしいなと思っています。
苦手なら苦手でいい。その代わり、好きなものをもっと、とことん好きになってほしいと思っています。
僕の姉の二人目の子供は生まれた時から障害があります。現在20歳を超えました。彼なりのスピードで成長しています。姉の育て方を見て、スピードは人それぞれでいいと本当に思っています。
そんな僕が、見て、とても感動した映画があります。9月1日公開の「さかなのこ」です。
のん主演の映画で、魚博士のさかなクンの人生をベースにして作られた映画です。
男とか女とかはどっちでもいいという作り手の強い意志を感じるこの映画。のんがさかなクンをモデルにした主役を演じているのです。
子供のころから魚が大好きだった主人公ミー坊。魚のことばかりどんどん詳しくなっていく。
でも、勉強は苦手。ミー坊の母親は「それでもいい」と強く思っている。好きなことをもっと好きになってほしいと思って育てている。その母親の「姿勢」に胸が熱くなります。
脚本を担当した前田司郎さんも映画の資料で、「世間には才能に溢れ、それ故に周りから理解されずに孤独に生きている人が沢山いると思う」と語っています。