現在、故意に相手を傷つけるのも、誰かの所有物を壊したり捨てたりするのも、物理的な暴力を振るうのも、それら全部を一くくりにして「いじめ」という言葉にまとめられています。それならば、もういっそのこと、このあいまいな「いじめ」という言葉を廃止してしまえばいいのではないかと思ってしまいます。
殴ったり蹴ったりしたならば暴行罪、けがをさせてしまったら傷害罪です。物を隠したり壊したりしたら窃盗罪、器物損壊罪になります。一つひとつを、きちんとした名称で呼ぶべきではないでしょうか。
学校側も、もしいじめについて生徒に考えさせたいのならば、面接でいじめについて聞くよりも、入学した初めの時期に授業をして、何をしたらどのような罪に問われるかを教えたほうが良い気がします。そして、警察などを含む外部の組織も積極的に介入できるように、それぞれのいじめの行為を、もっとはっきりとした罪名にして捉え直すべきです。
■あいまいな表現をやめると、どうすべきかが見えてくる
もし今現在、面接で「あなたはいじめについてどう思いますか」と聞かれたら、私はやはり悩むと思います。しかし、「あなたは暴行罪についてどう思いますか」と聞かれたら、キッパリと「警察に連絡します」と答えることができます。
いじめという言葉のあいまいさ、そして軽さこそが、いじめという行為を助長させている部分があるような気がしてなりません。
今後も、子どもたちのいじめに関する、つらいニュースを目にすることがあるでしょう。ただ、その「いじめ」という名称を変更することが、抑止力になり得るのではないかと思います。